貸金業者と債務整理、過払い金について
ひとつの事例を見てみましょう。
平成18年の裁判では、昭和58年9月に初めての取引があってから3年半経った昭和62年3月の時点で、
すでに過払いとなっていたものの、平成14年1月末までの約15年にわたって、過払い状態を続けて返済をさせていました。
この場合、過払い金の額はいくらくらいになったと思いますか?
被控訴人は有名な貸金業者の「プロミス」ですが、判決は「被控訴人は、控訴人に対し、
335万7109円及びうち280万6351円に対する平成14年2月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え」というものです。
争点のひとつが、過払いとなった後の借入金額と返済金額の不均衡があまりに著しいという点です。
最初の取引日から昭和62年3月までの借入合計が約103万円、それ以降の借入合計が約75万円であるのに対して、
返済金額の合計は約287万円にも及んでいます。
判決では、貸金業者に対して次のように厳しくその立場を戒めています。
「貸金業法を遵守して営業を行うべき立場にあって、そのために必要な態勢を講じることを求められており、
かつ、これに対応することも安易であるのに対し、控訴人は、被控訴人から貸金の返済を請求される立場にあり、
法律知識の点でもこれに基づいて対応する能力の点でも著しく劣った状態にあって、
過払い状態の発生後早い段階での不当利得返還請求権の行使を控訴人に期待することは実際上困難であったと考えられること、
貸金業者法の正当な解釈については近時の最高裁判例を通じて一層明確なものとなってきたものではるとはいえ、
被控訴人が、過払い時の発生を比較的安易に認識し得る立場にありながら、上記のとおり貸金の返済請求を続けることによって、
結果的に過払金の累積という事態がもたらされたということもできることなどの事情にかんがみれば、
本件のように過払い状態の下での借り入れと返済が長期間に及んでいる場合に、
上記のような立場にある被控訴人による消滅時効の援用を認めることは、誠実な債務者に不利益を強いる一方で、
貸金業法を遵守しなかった貸金業者に対して長期間に及ぶ過払い状態の放置による不当利得の保持を容認することにつながるものであって、
クリーンハンドの原則に反し、信義にもとる結果をもたらすものとしてゆるされないというべきである」
貸金業者の中には、こうした過払金返還請求に対し「請求額の5割なら和解に応じる」などと歩み寄ったかに見える対応をしてくる業者もいます。
しかし、もともと過払い金は、利用者であるあなたが支払ってきたお金です。
全額返してもらう権利があるのに、なぜ、5割で和解しなければならないのでしょうか?
平成20年の話になりますが、14都県、約1,100人の消費者が、
貸金業者や信販会社などに利息制限法の上限を超える金利を払わされたとして、
過払い金合計14億7000万円の返還を求める訴訟を一斉に起こしたのは記憶に新しいところです。
また、過払金返還請求をするとブラックリストに掲載されるのでは?と心配される方も多いのですが、
平成22年4月19日から、「株式会社日本信用情報機構(JICC)」は加盟貸金業者からの報告受付・貸金業者への回答を停止し、
すでに登録されている「借主が過払金返還請求をした事実」をすべてデータベースから削除すると発表していますので、
時代の波はますます消費者に有利になっているのです。
過払い金の基礎知識
日本では、借金をした場合、本人だけの問題ではなく、必ず親族等の関係者にもその影響が波及するシステムになっており、仮に返済が滞った場合、本人だけでなく親族にも苦しみが伴うことも決して少なくない。借金した者は自分のことばかり考えるのではなく、周りの人間にも迷惑をかける可能性があることを考えるべきである。特にサラ金の場合、当初の借入金額が少額であっても、返済額が多額になり、終局的には自殺を考える借り手も決して少なくない。そうならないためにも、今すぐにでもサラ金から借金をするのをやめるべきある。
多重債務をはじめとする借金地獄に陥ると、もう逃げ道はないと思いがちである。しかし、その救済方法はあるものである。返済することができないならば返済しなくてもいいのである。借金をした場合、誰しも借金をした自分に罪悪感を覚え、絶対借金は返済しないといけないと思いがちである。
しかしながら、サラ金に対してそのようなことを考える必要などないのである。自分が相手(サラ金)を騙して借金をしているわけではなく、サラ金は商売として貸しているのである。サラ金は金を貸すことによって利益を上げ、第三者に金を貸しているのである。相手(借り手)が返済できない可能性を見越して、高い利率で金を貸しているのである。
よって、借り手が借金を返済できない場合は、サラ金がその金が返ってこないというリスクを負うべきである。つまり、サラ金と借り手のお互いの見込み違いで、借金の返済ができないということであり、サラ金にも責任があるわけである。むしろ、貸金業法では返済できないほど金を貸してはいけないというルールがあるという観点からすれば、過剰貸付をしてしまったサラ金の方に責任は大きいと考えられる。
借金を返済してもらえないのはサラ金自体の責任であり、借り手は返済できないからといって、申し訳ないと思って返済するにはどうしたらいいのかという対処策を考える必要もない。金を貸せば必ず返ってくると考える方がナンセンスであり、悪いのは借り手ではなく、サラ金である。返済できない相手に金を貸した方が悪いのである。
出展
ワルが教える過払い金回収マニュアル
著者 山本 鐘博
発行者 奥沢 邦成
発行所 株式会社ぱる出版
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